黄身の長雲漬け

先日の黒糖焼酎の日の宴会のこと。「煮たまごと長雲の組み合わせが素晴らしかった」と、pengが言うのです。卵が大好きな僕と違って、普段は興味がない人なのに。

確かに、あの濃厚な甲州軍鶏の黄身と長雲の濃密な味と香りは、とても相性が良かった。

そんなある日、酒飲み友達のFacebookで「黄身の醤油漬け」を見たのです。酒飲みなら、これはやらねばなるまい!

そこから色々と作ったのですが、最終的にはここに行き着きました。黄身の長雲漬け。

長雲だけで漬けた黄身の写真

作り方と食べ方

  1. 卵を一晩冷凍します。ほぼ確実に割れちゃいますので、ジップロックなどに入れると安心です。
  2. 凍った卵を常温で解凍します。
    冷凍、解凍、このひと手間、実はすごく偉大な手順なのです。解凍した卵は、白身は元通りになりますが、黄身はぷるんと固まったままなのです。だから、漬け込むときに破れて「うわぁ」とならないんですね。
  3. 長雲に黄身を投入。黄身がしっかり浸かるくらいの量で作りたいものですが、あんまり大量に作ると長雲がもったいない。ひたひたくらいを目指したいところです。
    ちなみに、黄身にまとわりつく白身は深追いしなくても大丈夫です。食べる前にも取り除けますし、漬け込みに大きな影響はありません。
  4. 冷蔵庫で数日保存。一週間くらい漬け込むと、しっかり芯まで長雲が入ります。定期的にひっくり返すと、まんべんなく漬かりますよ。
  5. 黄身全体から透明感がなくなったら完成。ねっとりしてますけど、包丁で切れるくらいには固まってます。適当にスライスして、塩を添えて。
  6. 残った漬け汁は、煮物や炒めものなんかにどうぞ。捨てちゃうなんてもったいない!

味見

びっくりするくらい黄身と長雲が噛み合ってます。もっとダイレクトに黄身の味になったり、なんなら生臭くなったりするかと思ってたのですが、そんなことはなくて、まるで新しい物体。からすみとかの高級珍味を思い出す、進化した味になっています。

口に含むと長雲が香り、溶かすと黄身の旨味。塩気が長雲と黄身の甘さを引き出して、ついついお酒が進む肴が出来上がりました。

アルコールのおかげで、後味というか味のキレは秀逸です。黄身を使った食べ物ってどうしても口に残る印象がありますけど、これはそんな感じがとても少ない。さっぱりという言葉は似合いませんけど、そう言いたくなる仕上がりです。

長雲の味も香りもたっぷり楽しめる肴ですので、長雲ファンの方は特に気に入ってもらえると思いますが、お酒がかなり香る肴なのも事実です。お酒が弱い人は慎重にお試しください。

おまけ

ここに辿り着くまでの試行錯誤。いろいろ試すと、なんかできちゃうんですね。

長雲と醤油を1:1で。

はじめは、この比率の漬け汁で作りました。美味しく出来上がります。途中で黄身が破れちゃったやつもありましたが、トロトロでもしっかり漬かってねっとりしても、どちらもとても美味しいのです。
でも、1:1の濃度だと、長雲の香りはほぼ消されてしまいます。pengは奥に香るって言ってましたが、僕には「醤油だけじゃないことは判るけど…」って程度でした。

長雲と醤油を2:1で。

もっと長雲を香らせたいということで、醤油を控えめに。長雲2に対して醤油は1にしてみました。
美味しい醤油漬けの味に、ちゃんと長雲の香り。黄身の味が引き立って、醤油だけで漬けるよりも卵の美味しさがよくわかります。この比率だと、少々長めに漬けても醤油辛くならないという点でもおすすめです。

写真は、この2:1のレシピで1週間ほど漬けてスライスしたもの。胡麻を添えたりしても美味しいですし、肴としての完成度が上がっております。うん、いい出来です。でもやっぱり醤油漬けなんだよなー。

長雲2と醤油1で漬けた黄身の写真

卵を凍らせてみる。

これを作ってて思うのは、黄身を扱うがめんどくさいんですよね。取り出すときも、漬け込むときも、破れないようにって慎重にやらなきゃです。漬け込みの途中ではひっくり返したりもしますので、黄身が固まるまではほんとおっかなびっくり。

そんな時、pengが調べてきました。冷凍卵がすごいと。なるほど、この方法だと冷凍することで黄身の水分が少し抜けて固まるのか。これだと、もちもち食感は最初からあって、あとは味の入りだけを気にできるんですね。
その代わり、トロトロ状態のものは冷凍しては作れませんから、卵かけご飯にしたい人は生のまま頑張ってください(笑)。

ん?

冷凍すると水分が抜けてもっちもちなのか。そもそも黄身の醤油漬けが固くなるのも水分が抜けていくからだよね、塩漬けなんかと一緒で。

あれ?

冷凍したからすでにもっちもちってことは、水分を抜く要素はもういらない。ってことは、醤油、要らなくね?

長雲だけで、漬けられるんじゃね?

ということで、これが生まれたんですねー。黄身の長雲漬け、美味しくて面白い肴ですから、皆さんぜひぜひお試しくださいませ。

黄身の長雲漬けの写真

2015/07/1

書いた人

koching

奄美黒糖焼酎語り部。
もったいなくて飲めないお酒を買い集めるのが趣味。
甘いものでも辛いものでも、なんならお酒(の瓶を眺めること)を肴に酒が飲める人種。