2015年
奄美黒糖焼酎の日

今年も5月9日・10日がやってきた。

毎年、奄美黒糖焼酎の日には奄美の食材を使った肴を準備してお祝いしているが、今年は週末ということもあって、総勢6名で例年より大きめの宴を催すことになった。
奄美黒糖焼酎全蔵の酒を用意できれば最高だったが、なかなかそれは叶わず、ひとまず全島から各1種以上の酒を揃えて楽しむことに。以下がそのラインナップである。

今年のラインナップの写真

うーん、壮観。この光景を肴にして酒が飲めそう。

今回は黒糖焼酎を飲み慣れていない参加者もいたため、黒糖焼酎のふところの深さを知ってもらいたいという黒左党の希望を踏まえて、常圧、減圧、熟成もの、樽熟ものなどを幅広くピックアップした。

スタートは富田酒造場の龍宮30度で、前日に仕込んだ"酒4:水6"の前割りを冷やしてノンアイスで。同時に、その場で同じ割合の水割りを作ってその違いを楽しんでもらった。
2杯目は、同じく富田酒造場の龍宮かめ仕込40度を、まずはストレートで舐めてもらい、その後はロックでゆるゆると。
初めの2杯は、黒左党メンバー全員が黒糖焼酎にハマるきっかけになった酒であり、黒左党結成の原点といえるもの。その感動を参加者にも味わって欲しくてチョイスしたのである。

あとは、それぞれにロック、水割り、お湯割り、炭酸割り、ストレートで少しずつ全17種の黒糖焼酎を味わっていった。

各蔵の個性やそれぞれの銘柄の特徴などを掴むなかで、参加者は、黒糖焼酎と一口に言ってもここまで幅があって楽しめるものなのだということを感じ取ってくれたようである。
特に、昨年からのブームなんかよりも遥か昔からウイスキーに造詣が深い参加者2名は、水の硬度などに由来する奄美群島各島の黒糖焼酎の特徴の違いが、スコッチ・ウイスキーのアイランズを思い起こさせるということで、いたく感じ入っておられた。

こうした感想を聞くと、黒糖焼酎は他のハードリカーを好む層にとっても非常に魅力的でアプローチしやすい酒なのだなと再認識する。
朝日酒造の朝日のように麹がさわやかに香るものもあれば、山田酒造の長雲や一番橋のように濃厚な黒糖の香りが生かされるものもある。
町田酒造の里の曙のようにさらりとした飲み口ですいすい飲めるものもあれば、奄美酒類の奄美BLACKや奄美大島酒造のやんごのように1杯を時間をかけて飲みたい芳醇な味もある。
冷たく冷やしてぐびっとのみたい有村酒造の島有泉もあるし、お湯割りで芳香を慈しみたい新納酒造の天下一もある。
誰でもきっと好みの1銘柄が見つかる、色とりどりの個性があるからこそ、惹きつけられて止まないのだ。

こんな黒糖焼酎のふところの深さに今回の参加者はしっかりとノックアウトされてくれて、翌日酒屋に走って黒糖焼酎を数本入手したとの報告があった。
よしよし。今年もよい奄美黒糖焼酎の日であった。

今回準備した肴のうち、奄美の食材を使ったものは8品。

煮豚・とびんにゃ・つらんこ味噌の写真
イカとにんにくの芽味噌の写真
自家製パッションフルーツ入りサラダの写真
与論島のもずくの写真

煮豚は徳之島の紅茶で茹でてから、徳之島の黒糖と加計呂麻島のきび酢を使った醤油タレに漬けて、濃厚なのにさっぱりした味に仕上げた。添えた煮たまごは参加者が調達してくれた甲州軍鶏のもの。旨味のつよい黄身とこのタレのマッチングもなかなか。

食感のよい与論島のもずくと、自家製パッションフルーツ入りのサラダにも、きび酢を使っている。

また、出汁を効かせた煮物には、歯ごたえがたまらない沖永良部島特産のきくらげをプラス。

奄美大島のとびんにゃは海水ぐらいの濃度の塩水で茹でた。

香ばしい喜界島のピーナッツと胡麻は、島ざらめと鰹節を合わせた奄美大島のなり味噌に混ぜて、島豚のつらんこ(ツラミ)味噌とイカ+にんにくの芽味噌の2種を作成した。

徳之島のあおさ入り油そうめんの写真

そして、締めの一品は徳之島のあおさを加えたシンプルな油そうめん。

黒糖焼酎を使った料理は1品。

甲州軍鶏の龍宮かめ仕込蒸し実山椒風味の写真

たまごと同じく参加者が入手してくれた滋味深い甲州軍鶏は、海塩と実山椒と共に富田酒造場の龍宮かめ仕込40度に一晩漬けて、皮目を焼いたあと、オーブンペーパーでがっちり包んで蒸し焼きに。山椒の向こう側にかめ仕込がほのかに香って、野趣溢れる肉質はそのままなのに上品に仕上がった。

奄美群島の豊かさに敬意を表しつつ、いやー、飲んだ飲んだ。食べた食べた。
来年はどんな企画にしようか。考えるだけで楽しみである。

2015/05/12

書いた人

peng

奄美黒糖焼酎語り部。
黒糖焼酎に合う料理や黒糖焼酎を使った料理を考える時間が至福。
毎年2月にたんかん・とびんにゃ商人と化す。