島有泉のマチェドニア
料理は好きなのだが、デザートが作れない。
中学生の頃は、母や祖母に教えてもらって、冷たいデザートやケーキの類などに挑戦したものだが、よくよく思い出すと、まぁだいたい失敗していた。どれだけ細やかに指導されても、きっちり分量を計るというお菓子作りの前提が、自分の性格に合わないようである。なので、自分をよく知るようになってからは、デザートは一切作らなくなった次第。
しかしながら、黒左党を始めてみて、黒糖焼酎は甘いものとの相性が抜群良いことを痛いほど実感している。となれば、やらねばなるまい!
夏に向けて、黒糖焼酎を使ったデザート、まずは材料の計測がさほど重要ではないものから取り組んでいきたい。
1発目は簡単なところで、マチェドニア。
イタリアンなデザートだが、身近な昭和的単語で言えば、要はフルーツポンチ。フレッシュなフルーツをお好みで複数種類、適当に切って和えて冷たく冷やして食べる。シロップを使うこともあるが、オトナ向きには白ワインやシャンパンを使ったり、やや高めの度数のお酒ならリキュールを使ったりもする。この自由度が非常に好みである。
この日、自宅にあったフルーツは、いただきものの山形のさくらんぼと、近所の直売所で安売りしていたハネモノのメロンとブルーベリーと、熊本の晩柑。これらを全部使って、与論島・有村酒造の島有泉でマチェドニアをつくろう。
島有泉は20度を選択。20度はキンキンに冷やしてストレートで飲むのがとっても美味しい。黒糖をひそかに感じさせる控えめな香りと青さを感じるクリアな味は、特に、甘さと青さのあるメロンとの相性がよいのではないかと考えた。
メロンと晩柑を適当にカットして、さくらんぼには切れ目を入れる。ブルーベリーはそのまま。島有泉は写真の通りフルーツの半分が浸るぐらいの分量にして和えた後、冷蔵庫で2時間ほど冷却した。
一般的にはお酒を使うマチェドニアのレシピでも砂糖をプラスするが、今回は純粋にフルーツと島有泉の味のコラボレーションを試したくて、一切入れないことにした。
さて、試食。
メロンの熟した甘さと晩柑のさっぱりした味わいは、島有泉が間を取り持って融け合っている。美味しい!そして、フルーツと合わせると島有泉の黒糖感がやや強く感じられるのが不思議だ。単体で飲むときよりも香りが強い気がする。さくらんぼのやさしい甘さやブルーベリーの特徴ある香りも、島有泉の黒糖由来の甘い香りが包んでくれるよう。 冷蔵庫のなかで何が起きたのだろうというぐらい、一体感のあるデザートに変身していた。これはやはり、事前に想像していた通り、メロンと島有泉の相性のよさが創り上げたもののような気がする。
使うフルーツによってお酒のチョイスも変えてみれば、何通りもの黒糖焼酎マチェドニアが生まれそうである。ずぼらな私にもできる、簡単なのに美味しく楽しいデザートとして、強くおすすめしたい。
2015/06/22
書いた人
peng
奄美黒糖焼酎語り部。
黒糖焼酎に合う料理や黒糖焼酎を使った料理を考える時間が至福。
毎年2月にたんかん・とびんにゃ商人と化す。